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2年ぶりにダボスで開かれるいわゆる「ダボス」会議に来ましたが(世界経済フォーラムが主催しているそれ以外の会議にはここ数年いくつも参加しています)、規模があまりに大きくなりすぎているのでは、というのが印象です。2年前も、満席で入れないセッションが多く、一方、周辺ホテルで開かれているセッションの数も膨大で、スタッフもいれると4000人にも達するほどの人が小さなスキーリゾートにいるので、道路は混むし、セキュリティには時間がかかるし、と思いましたが、今回はさらにその印象が強いです。

最近は、ITを駆使していてPlenaryで行われるセッションはほとんどリアルタイムでWebcastで見られるため、今回も、それ以外のセッション、物理的な場にいなくてはならないセッションをという方針で私はセッションを選びました。何といっても興味深いのは、WORKSPACEやideaslabという形で行われる各種のブレーンストーミングです。WORKSPACEはDiscussion LeaderもFacilitatorも何度か今までにやっていますが、今回はCross-IndustryのTalent Mobilityに関するセッションのFacilitatorをHBSのDavid Thomasと一緒にやりました。このテーマは、今まで1年以上活動していますし、Workspaceセッションについても、電話会議や直前まで準備をしており、当日もちょっとした点を修正したりしたせいか、とてもうまくいき、参加者の満足度は非常に高いものでした(これはスタッフに後で聞いて、私もとてもうれしく思いました)。

ideaslabは、MITのセッションが満席で入れなかったのが残念でしたが、参加したGlobal Redesign InitiativeのRisk SessionとHarvardのヘルスケアのセッションはなかなか興味深く、いかにも参加したという感じが残りました。こうしたブレーンストーミングのセッションは、ただ聞いているだけではなく、どんどん発言する必要がありますが、参加者のエネルギー・レベルを高く保てれば、Creativeでおもしろいアイディアが多数出ます。「見る」のではなく「参加できる」のが一番の面白さですし、ダボス会議の醍醐味だと思います。

ideaslabはここ1年でかなりの数に参加したり、Moderatorをしたので、このフォーマットに向いたテーマとそうでないテーマがだいぶ分かってきたような気がします。(このあたりは、今回も会ったRichard Pascaleなどと、どこかで話したいと思います)

今回初めての経験はStudioでのセッションです。Hacker’s Mindというセッションでしたが、これは新しい方式として、ポテンシャルが高いと思いました。もう少しInteractiveにできるともっと良いので、それがこれからの課題だと思います。

ダボス会議では「参加」ということについてかなり考えさせられることがありました。ITを駆使すれば、公開されている会議などはほとんどが見られるので、「見る」だけではほとんど来た意味はありません。それより、どんどん発言して、参加することがいかに重要かを再認識しました。同時に、参加するためには、場になれることと、かなりの試行錯誤が必要だとも思いました。こうした会合に出てきている人たちは、子供の頃、あるいは若い時から自分の意見をはっきり言う、質問する、何人かと議論を建設的に進めていく経験を積んでいます。そうした訓練や経験を積んでいないと、実際の「場」での発言や「参加」が難しいのだと思います。自分の経験を振り返ってみても、今は何となく場のルールや流れがわかるので、??と思われても意見を言う、質問をすることには抵抗がありません。しかし、最初のうちは、気後れしたり、発言するタイミングを逃したり、とんでもないことを言ったりということが良くありました。しかし、英語が母国語でない人が多いですし、とんでもないことというのは、ほとんどない(開発途上国では私には想像つかないようなことがあるので、一部の人に「とんでもない」ように思われる意見もその国や地域では当たり前)ことがわかってきましたし、そういうことにこそ会合や世界の問題を解決しようとする意義があることがわかってきたので、何でも発言しよう!という姿勢になりました。こうしたことは誰かに聞いてもわからず、やはり自分で経験するのが一番だと思います。

もうひとつ痛感したのは、コミュニケーションの力です。英語が母国語でない人たちでも、Broken Englishでも、意見をはっきり持ち、ちゃんと主張します。その中で、英語を聞く力がない、自分の意見をはっきり主張できない、議論の流れについていけないのでは、21世紀の世界を生きていくことはなかなか難しいと感じました。5-10年前位までは、英語が不得意と思われた中国や韓国の人は今ではほとんど英語で発言します。こうした中で日本は世界から全くかけ離れてしまったという感じを強く持ちました。

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    • Makoto
    • 2010年 2月 03日

    ICSの2nd Year StudentのMakotoです。

    今週の日曜日にBBCをたまたま見ていたら、ICSのDeanの竹内先生がパネリストとして参加していたダボスのセッションが50分間にわたり、放送されていたので、びっくりしました。

    ダボスの雰囲気が何となくわかりました。

    ブロークンな英語でも、観客席の人がいろいろ質問をしていると思いました。

    • SHUN HASEGAWA
    • 2010年 2月 08日

    こんにちわ。
    今回のダボス会議も終了し、色々な試み(you tubeなどの投稿な ど)、
    100年に一度とも言われる不景気への打開策について様々な議論
    がなされたと思います。ますます複雑化する経済状況で、
    世界各国のリーダーが集まるこの会議は世界経済にとって必要不可欠だとは感じます。

    ただ、ダボス会議が今の深刻な不景気を招いたリーマンショックを想定し、
    危機回避を示すことが出来なかったとかつて言われたことには残念だと感じます。
    しかし、実際にそのような兆候を感じ取り、発信し続けた人はいなかったのでしょうか。

    ついこの間まで、アメリカや日本のつかの間の好景気が嘘のようです。

    こんな簡単に経済が吹き沈みしていくものなのか、
    何を指針にすべきなのか、見極めなればいけないのだと痛感します。

    • Yoko Ishikura
    • 2010年 2月 08日

    Dear Makoto, 石倉です。コメントありがとうございます。BBCの番組はWorld Economic Forum Annual Meeting 2010のWebcastでも見られます。http://wef2010.unitec-media.tv/20100129/20100129.html# ブロークンでも何でも問題意識を持ち、それを追求しよう、それを伝えようというWillが大事なのだと思います。

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