Innovate Americaをはじめた時のCo-Chair二人のためのディナーの次の日に開かれたCOCAnnual Meetingでは、これからの計画― Five for Future―の各部分に関するパネルが3つ行われました。

 最初のパネルでは、いかに世界の状況が変わったか、すなわち、グローバル化が進み、10年前、5年前とは全く様変わりかについて、ビジネス(ウォルマート、マラソン・オイル、メリル・リンチ、たばこをすう人は雇わないという方針のユニークな新興企業)、大学(シカゴ大学)、労働組合のトップがパネリストとなり、それぞれ、状況をどう見るか、課題は何か、それぞれ何をしているか、などについて、議論しました。競争力に関しての課題は、エネルギー、教育(新しい能力の必要性)、ヘルスケア、環境などに集約されること(この課題リストを見ただけでも以前とは全く違うことが一目瞭然ですが)、ばらばらな働きかけではなく、総合的なアプローチが必要なこと、多面的、俯瞰的な見方をする能力が鍵であることなどが、議論されました。

次のパネルでは、こうした課題に対して、COCがスローガンとして新しく掲げたFive for Future-CREAT(それぞれがこの5つの文字で始まる)について、ビジネス界、政策担当者、大学の学長、労働組合のトップなどが登場しました。CREATEなどの詳細はこちらから。

  ここで印象に残ったのは、主役は民間企業だということを企業のトップが強調していた点です。政府に頼るのではなく、自分たちが先導して道を切り開くという気概が明らかで、とてもうらやましく、またたのもしく(私は事業戦略が専門ですから)思いました。 

 Secretary of Commerceがランチのスピーカーとして登場し、グローバル経済の中での鍵―オープン化はさらに進める、米国は世界から移民が集まる国、自由こそ差別化要因である―などについて、語り、まとめのパネルがありました。

  2日間でしたが、私にとって印象深かった点がいくつかあります。まず第一は、Innovate Americaという当時としては画期的なプロジェクト(世界でも有名)が、どれだけ広報され、世界から注目されたか、法律や予算に結びつき、実際の計画として進んでいるか、その他全国の多様な組織によって各部分の具体的な計画が進められているか、を明確に示したことです。単なる提案や報告書にとどまらず、徹底して法律にする、予算化する、具体的な計画にして実行する、という所がすばらしいと思いました。

 それとともに、すごいと思ったのは、Innovate Americaはこれだけいろいろな成果をもたらしたが、いまや時代は変わった、今までとは全く別の状況の中で、また新たな課題を取り上げ、それにチャレンジしようという明らかなメッセージが繰り返し強調されている点です。米国では、過去の優れた実績を皆で祝い、それを進めたパイオニアの功績をたたえ、感謝するのですが、それはひとまず終わったと明らかにわかるようなイベント(ディナーなどはその典型的な例だと思います)をして、全く新たな道を歩み始めるということが良くあるように思います。

 過去をひきずったり、過去の栄光にしがみついたり、ということがそれほどなく、この功績はすごい、だけど、これからはまた新たに始めようという意識や気概が明確です。アメリカは何しろ開拓者、パイオニアなのだから、常に新しい課題に挑戦しようという姿勢が感じられます。   

 もうひとつ印象に残ったのは、この日の会議もそうですが、その次の日にあった人たちの多くが、ビジネス、大学、政府、労働組合などいろいろな分野や組織の経験をしている、多くが、ある時は大学、ある時は政府、ある時はビジネスといろいろ違う役割を実際「自分」でしたことがあるという点です。「交流」「連携」というよりは、自らが多様な経験を持っていることが、日本とは大きく違うと思いました。違った役割をした経験があるため、別の見方、別の基準をすることに慣れているようです。最近参加したいろいろな会議で繰り返し出てきたこれからの時代に生きていくために必要な力―多様な経験、俯瞰的な見方、あるDisciplineにとらわれない見方(こう考えるといまだに文系理系といっているのは、全く時代錯誤という感じがしますが)―を実践する素地があると感じました。

 それにもかかわらず、大学の学長などは、今の時代に必要なそうした能力をどうやって学校で教えたら良いか、まだ試行錯誤中、という悩みをフランクに語っているのも、印象に残りました。