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 ある分野の知識をたくさん持つだけではなく、いろいろな分野を俯瞰的に見ること、歴史を振り返り、将来を見通すこと、多様な原体験を積むことによって、応用のコツを得ることなど、横断的、学際的な視野がしだいに重要性を増してきているのではないか、とこのブログでも何度かいってきました。これは、自分のいる世界の狭さ(というと誤解を招くかもしれませんが)を認識し、外の世界に何があるのか常に好奇心を持つことにも通じると思います。 

 こうしたことを考える際、いつも思い出すのが、経営コンサルティング会社にいた時の経験です。私が非常に多くを学んだ経営コンサルティング会社では、ちょうど私が入った頃さかんに本を出版していました。経営分野におけるフレームワークや考え方、各種の手法が日本でも関心を集めていたこともあり、会社内のライブラリーには、自社の書籍が多数並んでいました。
 入ったばかりの頃は、そうした本を何しろ早く読まねばと思って実際そうしていたわけですが、ある日、大きな書店に行ってみて、びっくりしたことがあります。それはまず一般の書店(かなり大きな書店でした)で、ビジネス関係の本はごく一部、その中で、私の勤める会社から出版されている本はまたそのごく一部であることを発見したことだったのです。日々、会社の著者が出版した本に囲まれていた私にとって、これは、「何だ、これは!」という経験でしたし、その時の感覚を今でも鮮やかに覚えています。

その時、私が痛感したのは、自分の世界ほとんどを占めている経営関係の本が全体の中でいかに少数派か、またそれ以外の分野がどんなに広いかということでした。物理的なスペースを考えても、何階にもわたっている書店の中でビジネス関係の書籍が占めるのは、1階の一部、その中でも経営の理論や実際についての本はごくごく一部であり、そのまた一部が、私の勤める会社の人が書いた本というわけです。
 何だ、私が思っていた世界は「世界」のごくごく一部なのだ!とそのときに痛感し、世界は広いと実感しました。

 今でもある企業や業界に興味を持ち、その企業、その業界のことを中心に見ていると、だんだん世界の誰もがその企業や業界に興味を持っており、それが今ホットなのだという錯覚に陥ってしまうことがあります。雑誌や新聞、ネットを見ても、その企業や業界の記事しか目に入らなくなり、それ以外は検索もしなくなってしまうということもあります。 
お客様の立場で考える、相手の立場にたってみるといいますが、それを実行するのがなかなかむずかしいことと同じかもしれません。
 ともすれば自分のいる世界がすべてと思ってしまったり、自分の立場を原点に物事を考えてしまいがちですが、書店でのこの経験は、自分の世界は本当の「世界」の中で時々見直さなくてはならないという教訓を思い出させてくれます。俯瞰的な見方、広い視野というのは、世界が広いという前提にたたないと開発できません。そうした点でも、自分の世界から意識して一歩抜け出てみることが必要だと思います。 

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コメント

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  • コメント (2)

    • kondo
    • 2007年 11月 23日

    こんばんは。はじめまして。丸の内キャリア塾で先生のお話を伺って感動し(というより、ほとんどカルチャーショックでしたが)、ブログを発見して以来、通っています。

    たくさんのキーワードや、「あっけらかんと駆け抜ける」ようなパワー(失礼!)の波をいただいています。(ブログをきっかけに、ウエブ時代を行くを読み始めました。)

    私が受けたパワーを、今度はまわりの誰かに楽観力みたいなものにして渡すことができていたらいいなあと思っています。そういう人と人のつながりってすごいし、おもしろいと思うのです。

    これからも、ブログを楽しみにしています。

    • yishikura
    • 2007年 11月 24日

    石倉です。コメントありがとうございました。

    丸の内キャリア塾だと昨年でしたね。先日、キャリア塾の関連で、日経キャリアの取材を受けました。「世界級」を出した昨年5月から、世の中はかなり変わった、という話もしています。(このブログでもそうですが。。)

    「今日も新しいことをしよう!」という気になってくださる方が一人でも増えるとうれしいです。(逆にそういう力を私がいただくこともたくさんあります!)

    また気楽にコメントしてください。

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