book清泉女子大学の地球市民学科は、ずっと昔、会議通訳などをしていた時からお世話になっている私の友人2人が深く関与しているのですが、その友人から、地球市民学科のコアカリキュラムとなったフィールドワークに関する本「清泉女子大学地球市民学科の挑戦」をいただきました。
この学科の創立当時の目的や経緯などは聞いたことがあり、「地球市民」という考え方についても身近に感じていました。その学科のコア・カリキュラムとして、フィールドワークがここまで整備されて、継続されてきたことを知って、大きな感動を覚えました。
私自身、「若い世代には、日本だけにとどまらず広い世界を知って、能力を最大限に発揮できるような『場』を自ら体験してもらいたい、そしてそれをサポートすることが私たちの役割だ」と感じて来ました。しかし、この思いを実現しようとすると、実際には、勝手を知っている地域でのフィールドワークで良し、としてしまうことが多いです。それはインターネットなどでいくら情報が得られるといっても、実際には不確定要素が多く、心配や不安が尽きないからです。
マラウィ、ブータン、ネパールなど、それも都市を離れた地方で数日を過ごす、それを女子大学のカリキュラムとして行うことは、「やらない理由」のリストがあっという間にできるくらい、とても大きなチャレンジです。

本書を読むと、実施面でのいろいろな苦労が垣間見られますが、それにもくじけず、15年近くこの取り組みを続けてきたことは驚異だと思いました。
しかし、学生が実際に感じたこと、考えたことを読むと、それだけの苦労をする以上に価値がある取り組みであることは明らかです。このような経験を感度の鋭い日本の若い人たちに広く伝えたい、実際参加してほしいと思います。
若い人を初め、次の時代に期待している「昔、若かった」人々にも、こうした価値のある取り組みを知ってもらうには、書籍だけでなく、電子書籍やウェブサイトなどを通して、常に発信していくことが大事ではないでしょうか。
私の回りにいる最近の若者は、自分の仕事や人生のやりがいを求めています。それは今40代以上の人とは全く違う感覚だと思います。本書の学生のレポートなどを読むと、フィールドワークによって、自分のしている活動がどう世界に結びついているのか、自分の存在価値はどこにあるのか、を模索し、それを自分で見つける貴重な機会が得られていることがよくわかります。
開発途上国は危ない、インフラが整っていない、などといっていないで、本書にあるフィールドワークのように、若い世代が自らそれを体験できる場を創れば、若い人は想像以上に力を発揮し、大きく成長します。そうした芽をつみとってはいけないということを本書は伝えています。