FullSizeRender (46)野口悠紀雄先生の「究極の文章法」は今回唯一持ってきた本ですが、読み終わってとても参考になることが多くありました。For English=>  私は野口さんが以前「超整理法」で提唱された「時間軸で書類を整理する」ことなど、とても実際的な書籍や提案が大好きなので、前から実践しているのですが、今回の「音声入力」法は画期的という感じがするので、少しずつですが実験を始めています。(このブログも、まずiPhoneのメモに入力してからメールで送って言葉の変換や文章の構成を直しています。)
この本の中心テーマの音声入力ではないのですが、私にとても印象的だったのは、「音声入力で本格的な文章を書く」という第4章に出てくる「構造・構成」の重要性です 。特に最近の自分の経験を思い出して、全くその通りと思った点が多かったのです、まずそれから書いてみます。
先週、Red BullのEnergy Summitで世界のマクロ状況についての基調講演(45分位、英語)をしました。このプレゼンテーションは当初の私の理解が間違っていたこともあり、何度も修正し、やっとストーリーやスライドが固まったものでした。ちょうど同じころ、他のイベントや頭の痛いことが重なり、この講演のストーリーとスライドがOKになったのでそのままにしてあり、2日前位までリハーサルをする余裕がありませんでした。前日修正をお願いしていたスライドが修正されていないことがわかり、かなり大変だったのですが、前日夜遅く、切羽詰まってストーリーを確認し、実際にリハーサルをしてみました。(英語の場合は自分が準備したものでも、かなり練習をしないとダメなのです)

切羽詰まった状態だったので、これではまずい!と思い、そもそも何をいおうとしているのだろうか、そのためのストーリーの構成はどうなっているのだろうか、に立ちかえりました。いろいろ修正をしたり、写真やグラフなど細かいことにばかり目がいっていたため、どういう流れで話そうとしているのかが、はっきりしなくなってしまっていたのです。一体何が言いたいのか、そのストーリーをどう展開していくのか、それぞれの写真やグラフはどんな役割をするのか、を見直しました。

全体で伝えたいメッセージ(最後に出てくる)につなげるための大きな見出しを作り、その中にでてくるスライドーグラフや写真とのつながりーをレビューしました。この作業によって、私の頭の中でストーリーの幹の部分と枝葉がが明確になってきたのです。大見出しについては、その後で見せる写真やグラフが大見出しで伝えたいメッセージと関連するように説明しようとしました。結局スライド自体や順序は変わらなかったのですが、流れは聞いている人にもわかりやすくなったのではないか、と(希望的観測ですが)思っています。(逆にこの作業をしなかったら、ただいろいろなグラフや写真が出てきたという印象になっていたのではないか、と思うのです)。この作業をするかどうか、で、話している人ではなく聞いている人の理解度は全く変わるとおもいますし、だからこそ構成を見直すことはとても大切だと思うのです。

一方逆の経験ー構成がすぐ見通せず、いただいたコメントがそれまで進んでいたセミナー全体の流れとどう関係するのかが分からなかったため、いかせなかったーも最近ありました。先日アカデミーヒルズで開いた「メディアの役割」のセミナーで、対談に参加された特別ゲストのコメントです。メディアの役割を話していた時に、講師のこれまでの仕事の経歴に関するコメントをされたのです。とっさにこのコメントは何をいおうとしているのか?が私にはっきりわからず、コメントを生かすことができなかったという苦い経験になりました。このセミナーで伝えたい全体のストーリーは私の頭の中にあり、講師との質疑応答も講師の話を受けて私が聞きたいことを聞いたのですが、仕事の経歴は全く予想してない視点からのコメントだったので、それをどう全体のストーリーに結びつけたら良いか、見当がつかなかったのです。権威があると信じられている情報だけでなく、いろいろな見方をすること、多様な情報源を持つこと、など、今回のセミナーの主なメッセージに戻って考えれば、どれだけ多様な経験や経歴が大切か、がわかるのですが、鼎談はアドリブだったので、こういうことが起こったのです。そこで、そのコメントを全体の中で位置づけるような質問(多様な見方、情報源など)をするか、あるいは補足をすれば聞いてる人にはずっとよくわかったのではないかと後で思いました。

急遽参加してくださった特別ゲストには、せっかく来ていただいたのに申し訳ないことをしてしまったし、見ている人には唐突なコメントが独立して出てきたような印象を持たれて終わってしまったのではないか、とここでも構成や全体感の重要性を感じました。

全体の構成やストーリー、また関係するかもしれないいろいろな事例は、常に頭の中に持つ(あるいはそれを考えられるだけの余裕を持つ)ことが重要なので、プレゼンテーションにしても土壇場まで準備に追われるのではなく全体を見直すことがいかに大事かを痛感しました。メデイアについてのセミナーももう少し私自身がリラックスして余裕を持っていたら、うまくつなげられたかもしれない、と思いました。

この本では、音声入力がテーマですが、それを実際に使えるものにするには、「構成」「編集」が大事であるということを繰り返して強調しています。このことは、私の最近の経験を思い出すことになり、とても印象的でした。音声入力については今実験中なのでもう少し経験を積んでから、また書きます。何にしても、読んでわかった気になるのではなく、実際に練習を続けることが実力をつける道だと思います。