記事の詳細

このブログや講演でもよく話しますが、私の遭遇する人(特に日本の人)の多くが「正しい答え」症候群に陥っているように感じます。For English=>  1ヶ月ほど前に参加したセミナーの元参加者の飲み会でも、先日から始まったセミナーシリーズの後の懇親会でも、「どこから始めたらよいのかわからない」とか「多数あるプログラムのどれが良いのか」「どういうアプローチをとったら良いのか」などの質問やコメントをよく聞きました。私のアドバイスは決まって?「その辺から始めてみたら?」とか「よさそうなものからまずやってみたら」というものです。
なぜそういうかというと、いくら考えていても始めてみないとどれが自分に向いているか、などがわからないと思うし、考えている時間が無駄だと思うからです。そしてこうした傾向(いろいろ考えているだけで、一歩が出ない)を「正しい答え」症候群と呼ぶことが多いです。
「正しいアプローチがあるはずだ」「正しい答えがあるはずだからそれを探そう」「その分野の権威のアドバイスをもらおう」「他の人がやっている中、一番良さそうなものが出てくるまで待とう」という傾向になりますし、自分がやっていることが「正しいアプローチ」なのか常に不安をもつという状況になることもあるようです。
私は今のように変化の時代、それも今までとは全く違う世界が開かれて行く中、こうしたアプローチは通用しないと考えています。ですから、まずやってみよう!と思って、いろいろ始めてしまう(そしてよく挫折・失敗する)のですが、先日参加者の一人から、「(私がいったことで)一番印象に残ったのは、正しい答えがわからないから、試してみる」というコメントをいただきました。

それから、一体私はなぜこういう考え方になったのだろう、と少し考え始めたのです。いくつか思い当たることがあるのですが、その根底にテクノロジーがあるのではないか、と気がつきました。最近初心者のためのプログラミングというオンラインコースを何とか終えたのですが、そこでいくつかとても印象に残ることがあったのです。ひとつは、コードを書いていく時に少しずつ書いてはそれで働くか、確認する、というメンターのアドバイスでした。特にテクノロジーがなかなか日本で活用されないのは、正しい答えを最後まで作ってからはじめて実行にうつすという姿勢が強いからではないか、という話をエンジニアの人たちにも聞いていましたし、セミナーやワークショップをやる中で、私自身感じていたことだからです。プロトタイピングをする、試行錯誤をするというアプローチがなかなか理解実践されないと感じていたので、コーディングのコースでまさにそれを実感して、「コーディング」やテクノロジーなどにあまり多くの人が触れないから、こうしたアプローチの重要性がわからないのではないか、と納得!してしまったのです。

そんなことを考えていたら、コーディングは今回初めて自分で試してみて、「ああ、こういうことか」と納得したのですが、それ以前から、何しろすぐやってみる、試してみる、プロトタイピングというアプローチが今は有効だ、と私が考え始めたのはなぜだろう、という疑問がわいてきたのです。2つの出来事を思い出しました。ひとつはやはりテクノロジーがらみの話ですが、パソコンなどがうまく働かない時に、パソコンなどに強いエキスパートに手取り足取り教えてもらうことがあります。そういう場合、専門家という人でも最初から答えがわかっているのではなく、あれこれ試して解決していくようだ、という姿を見たことがあったのです。「専門家でも答えがわかっているわけではなさそうだ」と感じたことがかなりあったのです。もうひとつ、ダボス会議など国際会議に行くと、ここ10年位は、世界一流の専門家の間でも意見が全然違う、ということを目の当たりにすることが多いからです。世界の変化はそれだけ大きくて、今までの理論などでは理解できないことが多いらしい、意見が違うことがさらに思考を進めるようだ、という様子を自らみる・聞く機会が多々あったからなのです。

こうした実際の経験から、「正しい答えがあるわけではない」「自分でいろいろな情報や体験を蓄積しつつ、判断して行く以外に方法がない」「どんどん試してみよう」「そこから道が開けるのではないか」というアプローチをとるようになったのではないか、と思い当たったのです。こう考えてみると、テクノロジーなどについて、あまり先入観がなかったこと、実際専門家も試行錯誤をすることを見て考えたこと、意見が全く違っても、また意見がどんどん進化していくのは当たり前だ、と思うようになったようです。こんな経験から、私は「正しい答え」症候群を少しは脱出できたのではないか、と考えています。

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

アーカイブ

ページ上部へ戻る