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p1000644.JPG 東アジア会議のテーマは、現在価格が高騰している石油、食糧、それからサブプライムローン問題から生じた金融システム危機などUncertaintyにどう対応するか? 特に急成長の途上にあり、経済開発が緒についたばかり(つまり、石油や食糧の価格高騰が一番打撃を与える貧困層がまだかなり存在する)アジアにおいて、こうした課題の解決のために、政府と企業はどう連携するのか、というものでした。ちょうど、石油や食糧価格高騰に対して大規模なストや暴動が世界各国で起こりつつある状況が毎日報道されていたので、この問題は東アジア会議に出席していたアジアの政府首脳にとっても、企業にとっても緊急の課題であることがひしひしと感じられました。

 実際に身近でこうしたストや暴動が起こっている場所でこうした課題を考えるのと、明日から食べ物が手に入らないという状況では必ずしもない日本でニュースを見たり聞いたりするのとでは、感覚がかなり違うと思いました。 

 このテーマを見ただけではわからなかったのですが、早い段階から議論が出てきたのは、こうした危機になると、各国政府は保護主義をとるようになることもあり、自由貿易や自由市場メカニズム、グローバル化への反論が必ず出てくるが、こうした動きに対してどう対応すべきか、またITの進化により、多くの人が情報を得られるようになる(ある意味では民主化)中で、それぞれ違う意見を持つ人をどうまとめていくか、さらには、ITの高度化により、世界のどこかで生じた問題が世界に波及するスピードとその影響の大きさが予想をはるかに超えたものである中、それに迅速にどう対応するかという点でした。

 またG8WTOなど今まで世界レベルでの課題を解決しようとしてきた枠組みが本当にこうした課題を解決する助けになるのか(特に、金融問題は開発途上国ではなく、米国が発端だし、G8には今一番急成長をしている国が入っていない)など、ずっと前の体制を前提としてできたグローバルな枠組みや体制への疑問でした。 こうした会議に出席することにより、2日間という短い期間でも朝から晩まで、こうした課題を考えることになるのは、日々の生活や仕事を超えた課題を考える、日本を越える世界観を持つ、などの意味でとても有意義だと私は思います。こうした機会を与えていただいている私自身の幸運を実感するとともに(本当にこうした広い課題について考え始めたのは、ここ数年のことなので)、より多くの人(特に日本の若い人)にこうした機会があると良いと思いますし、そうした機会を作りたいと思います。実際にこうした課題を考え、課題を解決する立場にある人の考え方を身近に聞き、自分なりに考えるのは、とても有意義だと思うので。

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コメント

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  • コメント (6)

    • yokokage
    • 2008年 6月 19日

    本当に先生は世界中を飛び回っていらっしゃるんですね~。

    「問題解決」をしていかないと、将来ひどい世界になると思います。大きな世界でも、小さな地域でも!!
    グローバリズムについては、私もやや否定的な感があるのですが、それをただ表出しても意味がないと思っています。「価値ある代替案」を示せることが大事だと思います。今、グローバリズムの世界で恩恵を受けている人たちが、代替案を出すことは考えにくいので、そうでない人達が出すことになると思うのですが、その両者が見ているものがそもそも違って、その世界観で不利になっているのかもしれません。

    まずは、グローバリズムの恩恵を受けている人たちをよく観察し、被害を被っている自分自身の問題点を洗い出し、そして、有効な代替案を出すというのがまっとうな筋だろうなぁと思っています。

    >日々の生活や仕事を超えた課題を考える
    >日本を越える世界観を持つ
    というのは本当に必要だと思います。

    • No.51(MBA ’84)
    • 2008年 6月 21日

    インフレに苦しみ始めたアジアですが、ある意味では自分で自分の首を絞めた感もあります。アジア各国は対米ドルで恣意的に割安に据え置いた自国通貨とエネルギーや食料に対する補助金を経済成長のドライバーとしてきました。通貨政策は多額の経常黒字(すなわちドル余剰)をもたらし、補助金は有限資源の非効率な消費によって市況高騰をもたらしました。そしてこれは余剰のドルの流入で拍車がかかりました。グローバリズムの負の部分とも言えます。今回の苦境は資源の効率的な再配分への第一歩かもしれません。「見えざる手」はすごいです。

    • yishikura
    • 2008年 6月 22日

    No.51さん、石倉です。コメントありがとうございます。市場の「見えざる手」の力や誤解については、何度か議論が出ました。こうした危機が目の前に迫っている時に、短期の施策だけでなく、いかに長期的に問題を考えて、解決案を見出すかは、とても重要だと思います。

    • yishikura
    • 2008年 6月 22日

    yokokageさん、石倉です。コメントへのお返事をしたと思い込んでいたのですが、どうもしていないようなので。グローバリズム(リズムとなると主義という感じなので、グローバリゼーションのほうが良いように思いますが)などは何かについてあまり共通理解がない(違う世界を見ているというyokokageさんのコメントと同じ)ことも、問題を複雑にしているようです。前に日経の経済教室に書きましたが、日本の状況についても、全く違う2つの見解があるので、なかなか解決案への一歩が踏み出せないということではないでしょうか。

    • yokokage
    • 2008年 6月 24日

    グローバリズムとグローバリゼーションの使い分けもよくわからないでおります。主義というよりは、もうすでに現象になっている、「地球化」しているということですね。

    こういうことからして、よくわからない。なんとなく理解して、それぞれの理解がばらばらで、それぞれの持つ思惑やちいさな怒りなどが混じり、物事が複雑になっていくんだろうと思います。これからもいろいろと教えてください。

    • yishikura
    • 2008年 6月 24日

    Yokokageさん、石倉です。コメントありがとうございます。グローバリズムとグローバリゼーション、いろいろ複雑といえば複雑ですが、オープン化したほうがクローズでいるより全体にとって最終的には良いかどうか、ということにも関連すると思います。ITが格差を広げるか、減らすかということとも共通するような点がありますね。

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