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 先週土曜日の上智大学の経済学部のシンポジウムでの話はいろいろな点で印象的でした。まず元学長・理事長のピタウ大司教が「数年たって日本に帰ってきたら、子供が将来に絶望していることに愕然とした」というコメントをされました。そこから、ひきこもり、今非常な勢いで増えている「うつ」や大人に希望がないなどの話になり、いろいろ考えさせられました。

 そうしていたら、博報堂生活研究所の生活定点2008年調査の速報で、「自分の将来は明るいと思う」と答えた人が10年前の66.3%から、2008年は59.4%に減ったというメールが来ました。そこで、すれ違う人の顔つきを見ていたら、楽しそうな人はあまりいない!とこちらも愕然としてしまいました。

  上智大学のシンポジウムは明るい話もあり、次の一歩・ステージというコメントで終ったのですが、次の日の劇団四季のCats25周年のイベントは、こうした幾分暗いイメージとは全く逆でした。私は、劇団四季のケーススタディを書いたり、感動をつくる企業の事例としても紹介していますし、今書いている新しい戦略の本にもかなり話をいれるので、とても関心を持っています。その関係もあって、CATS1983年にはじめて新宿西口の仮設劇場で上演してから25周年の記念公演とその後のパーティによんでいただきました。その場はとてもハッピーでインフォーマル、希望に満ちた雰囲気でした。今の公演だけでなく、初演からの多数の公演に出ていた俳優の方々も来ておられました。

  私は組織としての劇団四季、その事業戦略の分析もしているのですが、あらためて、CATSをはじめて日本で上演した時からその後の経過などを再びプログラムで読み、いかにこのイベントが画期的だったか、思い出しました。ロンドンでAndrew Lloyd Webberがはじめて上演した時もあまりに斬新だったので、ずいぶん困難があったと聞いています。それが結局は大ヒットになり、こうして25周年を迎えたのは、困難に負けない気力、常に努力を続ける意欲と実際にそれを実現する能力の開発がされてきたからだと思います。それにしても舞台にたっている人たち、そしてパーティの参加者の顔を見ていると、将来に希望が持てない社会とは全く別世界のようです。劇団四季の歴史を見ると、何度も危機的状況になり、挫折があったのですが、常に高い志を持ち、継続してきたことに感動してしまいます。 

  パーティの場で、私が最も尊敬する経営者の一人である浅利慶太さんとお話することができましたが、「このビジネスはいろいろな能力が必要だし、不確定要素が大きいので大変ですね」というようなことを私がいったら、「基本はどんなビジネスでも同じ」(私はあこがれている人の前だったので、かなりあがっていて、正確には覚えていませんが、大体こんな主旨だったと思います)とおっしゃったので、「当たり前のことを当たり前にする、基本に帰れ」「成功した事業戦略はとても単純でわかりやすい」ことを思い出しました。

世界の変化のスピードがはやく、複雑さが増す中でも、ビジョンを明確に持ち、それを実現するために、新しいことを続け、挫折があってもその時々で最良と思われる選択をしていくことが大事なのだと思います。それをどう実践するか、どうやってそうした努力を続けられるか。

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