将棋の羽生善治名人の「大局観」を読みました。とてもすばらしい本だと思います。まず、心がとらえられるのは、「はじめに」のストーリーです。以前、「決断力」を読んだ時も思ったのですが、「はじめに」の部分の話が圧倒的で、あっという間に引き込まれてしまいます。すぐ「はじめに」にある2008年の竜王戦の、特に第7局がすばらしい対局だったことを思い出しました。

 全体を読んで、とても参考になったこと、「なるほど」と思ったことは多いのですが、決断には3つのことー直感、読み、そして大局観ーを駆使するという言葉は、特に印象的でした。実は、この本を読んだ感想を英語で5分位でまとめようー私が一人でする練習ですーと思って、英語では何といったら良いのかなと考えました。それぞれどんなことを指しているのかな、と詳しく読んだら、Intuiition, Logical thinking, Bic pictureの3つではないか、と思いあたりました。 

 そうなると、この3つは、私の専門である事業戦略やその他キャリアなどの意思決定にも重要だということに気が付きました。あまり分析的なことだけをする(Logical thinking)のではなく、これだ!という直感も駆使することの重要性は、最近特に痛感しています。特にヨットの白石康次郎さんの話ー朝起きてカンがさえていると思えばそれを信じるが、イマイチだと思ったらコンピューターを見て。。。ーーは、とても興味深いと思いました。

  それから大局観、Big Pictureー私は「全体観」という言葉を使いますーです。とかく細かい所に目がいってしまい、全体の姿はどうなっているのか、とか、そもそも何をしようとしているのか、ということを忘れてしまいがちです。3月11日からもうすぐ2カ月となる今、Big Pictureを忘れずに、そして直感と読みが決断には必要という言葉は、なかなか意思決定ができない多くのリーダーを見ると、特に重要だと思います。

 「大局観」には、他の羽生さんのご本と同様に、多くの事例、多くの人の話、たとえが出てきます。自分が知っている人の場合は、なるほどと思いますし、そうでない場合は、どんな人なのか、と興味がわきます。事例についても同様です。また集中していくのは海に潜るような感じ、コーヒー豆からコーヒーをつくる感じなどのたとえは、鮮やかなイメージが広がるので、本書をビジュアル化しているようにも思われます。

 「大局観」には、「リスクをとらないことは最大のリスク」「逆境を楽しむ」「続けること、繰り返しの大切さ」など心にとめておき、実践したい言葉がたくさん出てきます。常に結果が明らかになり、自分以外に頼る人がいない厳しい将棋の世界から、私たちが学ぶ点がたくさんあることが良くわかります。

 何となく、今日は気分がのらないなあ、いつもやっている日課を休みたいなあなどと思ったり、なかなか結果が出ないでこれで大丈夫なのかなあ、とか何となく不安があったりする時でも、本書を読むと、「また心新たにやってみよう」という気になります。