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 ダボス会議から今朝(1月30日)帰ってきましたが、今回は毎日役割があったため、その準備や打ち合わせに忙殺されてしまい、いつもは出席する公式のOpeningや土曜日に開かれるGlobal Economic Outlookなど、見どころのセッションは出席することができませんでした。しかし、こうした全体会議は、ビデオが公開されているので、どこからもインターネットにつながれば見ることができます。そこで、今ビデオを見ながら、このブログを書いています。

 Great Transformation:Shaping New Modelsというテーマで開かれた今回のダボス会議では、EUを初めとする世界経済の今後、雇用の問題、リーダーシップなどが大きな課題であったのですが、それ以外にも印象的だったことがいくつかあります。私にとって一番印象的だったのは、年代・世代間のギャップです。特にIT技術の進歩により、今20代の住む世界、ライフスタイルは、50代以上はもちろん30代以上の住む世界や前提としている環境とは全く違っています。私は、このギャップがとても大きいという感覚をダボスに行く前から持っていたのですが、ダボスにいって、その感覚をさらに強くしました。またこうした実感と懸念があるからこそ、ダボス会議も新しく20代で世界を変えるようなポテンシャルのある人たちをGlobal Shapersというコミュニティに組織化しようとしているのだと思いました。

 たまたま最後のセッション(私は朝早くでてきたのでその場に出席していませんが)のテーマが、Future across Generations(世代を超えた未来)というものだったので、早速そのビデオを見ました。世界経済フォーラムのProf. Schwabがチェアとなり、4人のGlobal ShaperとM. Yunus氏がパネリストだったこのセッションは50分足らずですが、まさにこの課題についての議論でした。中でも印象的だったのは、Schwab教授がGlobal Shapersに対して、自分のIdentityをどう説明するか、と聞いた時に、Globalといったこと、そして将来をあらわすキーワードとして、Interconnectedness, Honestyなどが出てきたことです。

 若い世代が今までと全く違うのは、技術を使いこなしているため、国境を超え、分野を超えて、意見やアイディアを共有し、議論し、一緒に活動していることです。つまり、若い人たちは、Globalは当たり前、Interconnectenessは当たり前と考えています。この感覚はもっと上の世代とは全く違います。

 ダボス会議は、世界から国境を超え、分野を超えて、リーダーが各種の課題について考え、直接接触する場としてすばらしいものなのですが、若い世代は技術を通じてすでにこうした活動をしています。今回のダボス会議が興味深かったのは、すでに世界レベルでつながっている(ことの多い)若い世代をダボスという同じ場に巻き込み、若い世代間だけでなく、生まれた時から、Global やInterconnectednessではなかった世代と接触し、ともに学ぶ、一緒に活動する新しい機会を提供しようとしていることです。技術を活用すれば、国境や分野を超えてつながることはできますが、「直接あって話す」ということの重要性が少なくなっているわけではありません。ライフスタイルや前提条件が全く違う世代を超えて、直接顔を合わせることができる機会を新たにつくっていこう、それが非常に重要だということを、今回のダボス会議では伝えようとしていたのだと思いました。

 こう考えると、最近、何となく感じていたことの姿がはっきりしてきたことは、私にとって、とても有意義だったのですが、一方、日本の若い世代、まだ力を持ち続けている日本の古い世代の状況を考えると、こうした世界の潮流とかけ離れているのではないか、と懸念を持ちました。

 会議の場で、何人か日本のことを良く知り、心配もしている人たちと話をしましたが、なぜ日本は変わることをそんなにおそれるのか、なぜこうした状況になっても変革へのモメンタムが働かないように見えるのか、と聞かれました。これは私自身の疑問でもあるのですが、こうした状況が続き、一方では、若い世代が世界につながっていないということになると、日本の若い世代は、日本の古い世代、世界の若い世代いずれからも乖離して、「陸の孤島」にいることになるのではないか、と思いました。

 どうすれば、日本の若い世代の多く(すでに見極めて世界とつながっている人たち以外)に対して、世界の若い世代はどれだけ国境や分野を超えて活動しているのか、を実感として感じてもらえるのか、自分もできると思って一歩踏み出してもらえるのか、が私自身の課題です。実際、そのためにいろいろプロジェクトを始めていますが、まだなかなかチャレンジが多いので。。。

 世界がつながり、変化のスピードが加速化する中で、生まれている世代間のギャップ、そうした中で、世界の課題を解決しようとしているわけですが、これまで試みられてきた世界レベル、政府・民間・市民団体を巻き込んだ働きかけに加えて、年代を超えたインターアクション、解決案を模索していたのが、今年のダボス会議だったと思います。

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コメント

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  • コメント (4)

  1. 石倉先生、お帰りなさい。興味深いご報告ありがとうございました。

    私も海外でよく日本の現状を嘆かれたりして、微力ながら自分にできることで
    日本の孤立化を防げるように尽力しています。

    またいろいろアドバイス宜しくお願いします。

    • yishikura
    • 2012年 1月 31日

    Mieさん、コメントありがとうございました。いろいろできることがあると思います。

    • Aogawa
    • 2012年 6月 25日

    先月、先生に取材をさせていただきました企業のものです。
    仕事の必要性があり、今年のダボス会議のOpeningをはじめ、かなりのVideoを視聴しているのですが、先生がおっしゃるところの”世界の潮流からかけ離れた”日本を Videoからだけでもかなり感じています。
    その一方で、Global Shapers Community に選ばれている若者を見ると、日本も捨てたものではない、と思います。
    多くの若者が、フラットな世界の中で自由に、存分に力を発揮し活動していけるよう、またそのダイナミックな動きをものともしない強さを身につけられるよう、私も支援するようなことをやっていきたいと思います。

    • yishikura
    • 2012年 7月 07日

    Aogawa san, 石倉です。コメントありがとうございます。返信が遅くなって申し訳ありません。最近、早朝Boot campというのを15回、学生とやりましたが、基礎的なことを説明して実践したり、外国から来ている同年代の学生との交流の機会をつくると、皆自分なりに「世界」を実感するようになるようです。私は若い世代には限りないポテンシャルがあると思っています。サポートをお願いします。

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