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101618日にソウルで開かれたWorld Knowledge Forumでパネルをしましたが、最初の基調講演をしたColin Powell米国前国務長官のスピーチは、最近聞いた多数の講演の中でも最もすばらしいもののひとつでした。

 メッセージが明快。。。というようなポイントももちろんですが、スピーチの真髄である、1)いかに聴衆と関連づけるか(relevance to the audience)  2)その人しかいえないユニークな話をするか(uniqueness)、という点ですばらしいと思いました。 今年第8回のWKFのテーマはWealth Creation & Asiaでしたが、Powell長官はいかにWealth Creationが重要か、経済が成長し、生活水準があがることがいかに重要かを、自身のアジアでの経験などたくさんの事例をいれながら、語りました。

まず自分が韓国に30年以上前、軍人として駐在したこと、韓国にどんなにいろいろな思い出があるか、からはじめたので、一瞬のうちに聴衆との親近感が生まれました。

 それから軍人としてのベトナムやソ連での経験、国務長官として数々の政治の場に直接立ち会ったことなどをさらっと説明しながら、いかに生活水準があがり、富が創造されることが重要か、そして、国の体制が変わり、経済成長へと一歩踏み出すと、もう2度と昔には戻らないだろうということを、中国、ソ連などの事例を身近な経験から強い信念として語りました。そうして、今みなが持っている懸念―中国は今後どうなるのか、ロシアは。。。――などの疑問に答えたのです。

 ペレストロイカの頃のGorbachev大統領、Reagan大統領など直接接触したリーダーとの逸話もいくつか語りました。これはPowell長官にユニークな経験で誰でもができることではないのですが、その口調に「自分は特別な存在」というような感じは全くありませんでした。

 またKnowledgeが世界の鍵になる、ICTが知識を世界の皆に開放し、Wealth Creationを推進すると信じていること、またそうした現場に自分自身が近い所にいたいのでICT関係のベンチャーキャピタルに参加していると語りました。

 私がPowell長官のスピーチをすばらしいと思ったのは、すべて自分の言葉、自分のスタイルで語っている点です。パッションにあふれたという感じではなく、淡々と語っているのですが、内に秘めた情熱、現場を見てきたことからくる強い信念、自分が直接参加する意義など、とても心を打つものでした。すごい迫力で語るという人でないので、さらに説得力が増したと思いました。そしてPowell長官40分近く、全くノートなしに聴衆に「直接」話したのです。

 私は、以前、My American JourneyというPowell長官の本の一部を読んで感動しましたし、各種の重要な職務にあった頃、各種の報道に触れていた時から、すごい人だと尊敬していたのですが、今回直接実物を見て、その話を聞き、もっとすばらしい人だと思いました。

 今回の会議はこの基調講演を楽しみに来たのですが、このスピーチを聞いただけでも、来た甲斐があると思ったほどです。

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